(2019年1月20日、記事最後に追記)
天気も良いので、すばらしい彫刻があると言う神社へ。琴浦町倉坂集落を抜けると、右手に「倉阪神社」の案内が見えてきました。駐車場は道路を挟んであります。
綺麗に掃除された石段を上ると、中程に鳥居、そのすぐ背後に一対の狛犬。そこから次の石段が続いています。

次の石段の途中には、小さな一対の狛犬、台座から50cmぐらい。石段を上りきるとすぐ拝殿。

拝殿の上部には、青竹から吊された左綯えの立派な注連縄と〆子。その上部に横いっぱいに阿吽の2体の龍、中央は牡丹。

拝殿を左に回ると、本殿の飛び出した様な造形が目に入る。驚きで「うぉ~」と声が漏れてしまう。

さらに近づいて、本殿の全景。屋根下にびっしりと彫刻と組み物が配置されています。本殿の大きさはもっともっと小さいものを想像していたので、その大きさにも驚く。様式は流造りですが、向拝が唐破風になっています。高さは10mぐらい。

唐破風の一番手前は翼を広げた鳳凰。

その奥、向拝の上部は彫刻がびっしりと隙間無く詰め込まれた感じです。戯れ躍動する7頭の獅子の子供、よく見れば一頭は顔は見えず頭だけなので、合わせて8頭。下側は向かい合うちょっとユーモラスな阿吽の龍頭、吽形は玉を握っています。

さらに奥が、本殿正面。扉の右に上り龍、左に下り龍と構図も大胆。上り龍の目には色が入っているので活き活きとしています。扉の上部の彫刻は透かしてあり彫りが深い。右は波に老亀、左は松に鶴ではないでしょうか。

下から見上げる木鼻。正面は獅子、側面は獏でしょうか。かわいい肉球付いてます。

本殿向かって左側面の全景。随所に彫り物が施されています。そして向拝の屋根はアンバランスな程大きな唐破風、とにかく長く伸びてます。この屋根全体が彫刻を際立たせていると思う。

向拝の側面には、扇と長刀を持った童子と団扇も持った天狗。これって牛若丸なのでしょうか。上部の花の花弁もくっきり、そして見えない内側にも隙間無く彫刻。

屋根の持ち上げの木組もすごい。上部に行くほど彫刻や木組みが迫り出していて、真下から見上げれば覆い被さってきます。

本殿左側面。一番上は菊に鳳凰。中段は、右が12人の童の鬼ごっこ、素晴らしい。左は龍、折れそうな長く細い髭、一本しかないので一部折れてしまったかも。下段は、竹林の虎。全体が見事としか言いようがないです。

廻縁の下の彫刻も凝っている。

そして、左廻縁奥に衝立の様に張りだしているのは、鯛を持ち上げる恵比須。

本殿真裏。右は松と鶴。左は雲と龍かな。

本殿右側面。一番上は翼を広げた龍。中段は、右が牡丹と獅子、左が7人の童、ご存じ「かごめかごめ」をモチーフにしてあります。下段は、水際の犀と思われる。左側面と同じくこちらも素晴らしいです。

こちらの廻縁の奥は、熊と鉞を持った人物、坂田金時ではないでしょうか。

こちら側の向拝側面は、大筆を抱えた人物と大蛙を背負った人物との再会シーン、2人の上は棍棒を携えた仙人みたいです。どの様な逸話が由来なのか。
(記事最後に2016/2/6追記あります)

懸魚中央は飛び出した蓮の花。

最後に、向かって右側からの本殿。思いの外大きな本殿、そして数々の彫刻群、そして異様に大きな唐破風。

ひっそりした集落の神社にこれだけの本殿があるのが不思議な感じです。いろいろ深い話があるかもしれません。
2016年2月6日追記
分からなかった彫刻の主題がやっとわかりました。いろいろな語句で事ある毎に調べ、8か月かかってやっと判明。「ガマガエル 仙人」で画像検索して、なんとなく似た様な画像が見つかったので、それをヒントにさらに検索してついに辿り着きました。
左がガマガエルを従えた「蝦蟇(がま)仙人」。本来仙人のカエルは後ろ足が1本のはずだがこの神社の彫刻は2本です。
右が武器の瓢箪を携えた「鉄拐(てっかい)仙人」。中央の空飛ぶ小さな仙人は、鉄拐の魂が体から離れる場面。大筆と思ったのは鉄杖でした。
これは、愛知県半田市亀崎地区の「亀崎潮干祭」の山車のひとつ田中組神楽車の彫刻です。これを画像検索で発見して判明しました。

(2019年1月20日追記)
当時石造物に興味なくスルーしていたので、再参詣しました。
鳥居の刻字確認、「昭和六年十月吉日建之」。石工銘は石段左の建立碑にありました。「鳥居建築石工 倉坂 松本倉吉 山田 板倉音五郎 三保 米山乙市」。
鳥居背後の狛犬は、盤座下から尾頂まで高さ92cmの構え型狛犬。凝灰角礫岩製ですが非常に保存状態良いです。

さらに上、石段途中には盤座下から尾頂まで45cmの出雲式座型の構え型。

倉坂集落の中程に建っている金毘羅灯籠。気になって刻字確認、「明治三十二年八月」、「石工 當村 松本倉吉」。鳥居と同じ石工さんですが、30年程離れています。
鳥取神社巡り一覧
- 2015/05/06(水) 23:21:36|
- 巨木・神社・温泉・旅|
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コメント:2
主人の母が倉坂出身です。 神社の下までは行ったことはあるのですが・・・
町報で立派な神社の写真は1枚だけ見ていました。
これだけ詳しく紹介してもらうと 見に行かなくてはいけませんね。
- 2015/05/14(木) 07:27:52 |
- URL |
- 山陰の日々 #-
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そうなんですね、ぜひ訪ねてみてください。ひっそりとありますけど、本殿はすばらしかったです。村の宝の様な印象を受けました。
- 2015/05/14(木) 16:52:44 |
- URL |
- ひさごん #TUPMmKso
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